気まぐれ日記 2010年7月

2010年6月はここ

7月1日(木)「外はすっかり夏?・・・の風さん」
 年寄りの台詞みたい……いや、まさにそうなのだが、今年もあっという間に半年が過ぎた。
 やりたい放題たくさんやらせてもらったので、よっく思い出せば成果はたんとあるはずだ。
 しかし、成果を上げるばかりが人生ではないはず。何もせずボーッと過ごすことにも、それなりの意義があると思うのだが、人生の達人でないせいか、あくせくと過ごしてしまった。
 今日も、夏らしい一日だった……ような気がする。というのは、会社で、窓のない部屋に籠もっているので、外界のことがよく分からない。明日の出張の準備で、これまた一日が過ぎてしまった。
 帰宅したら、母校の図書館から資料の掲載許可証が届いていた。
 非常に疲労を感じたので、とにかく何かやらねば、と思い、気になっていたメールだけは送った。

7月2日(金)「遠くまで行くと良いこともある・・・の風さん」
 朝が苦手な私だが、今朝はけっこう早い電車で出発した。
 名古屋駅のホームで、座席指定をとったのぞみより17分早いのぞみの自由席が空いていたので、飛び乗った。いちおうN700系であることを確認して、である。
 持参したモバイルパソコンのアプリルで、映画を観ることにした。英語の勉強である。
 東京駅から中央線に乗り換えたのだが、ここでも時間を節約でき、途中下車してバスに乗り換えて、出張先に着く前に30分早く取材先に到着した。行きがけの駄賃ってやつだ。
 目的地は中央線の国立駅だが、まさかその途中に取材先があるとは思わなかった。
 こういうラッキーはたまにある。
 目的をすべて果たして、再び、バスから電車を乗り継いで、出張先に着いた。
 そこでは予定をオーバーする2時間半も滞在して打ち合わせしてきたが、まだ足りない。後は、また来週である。
 帰りは真っ直ぐ自宅を目指した。
 乗り継ぎに継ぐ乗り継ぎを繰り返し、片道4時間半だった。
 すごく遠かった。

7月3日(土)「休養の1日・・・の風さん」
 先週と同様に、多忙な1週間を過ごしたら、1日は休養が必要である。
 今日は、基本的に執筆しかしないことに決めていたが、それ以外の時間はひたすら休養である。
 だから、昼寝もした。
 夜も遅くまで頑張らず、適当に切り上げて、チューハイを飲みながら読書して寝た。

7月4日(日)「執筆とトレーニングと・・・の風さん」
 今日も朝から執筆だ。途中で昼寝をしているわけにはいかない。
 最初曇りがちだった空が次第に晴れてきた。
 夕方近くなって、執筆はそれほど進んではいなかったが、休養のあとは体力増強が必要ということで、トレーニングに出かけた。
 空はすっかり晴れ上がっていたが、爽やかな風が吹いていた。梅雨とも思えなかったし、夏とも言えない清々しさだった。
 負荷は落としたが、ほぼフルメニューをこなした。
 夕食後は、気になっていたメールをいくつか出して、今夜もほどほどに切り上げ、チューハイを飲みながら読書して寝た。今年やっと18冊目の読了である。
 執筆のペースはのろいが、これが健康的な1日の過ごし方だったかも。

7月5日(月)「秋田の美酒・・・の風さん」
 夏真っ盛りといったような天気。早く梅雨明け宣言して夏になってしまえばいいのに。
 年に1回開催されている「あきたリッチセミナー」に出席してきた。
 著書のプロフィールに「秋田高校から東北大学へ進み……」と書いているように、秋田高校卒が誇りの男なので、この心の故郷の企業誘致活動には微力ながら協力したい、とは思っているが、本当に微力なので、いかんともしがたい。
 県内各市町村の宣伝を聞くだけで、秋田の近況が分かって楽しい。理解が深まる。ただ、他でも一緒だろうが、平成の大合併で、貴重な文化遺産ともいうべき地名がなくなっているのは寂しい。
 今日は、昨年お会いすることができなかった上小阿仁村の小林村長と再会できてうれしかった。何しろドイツで勉強された方なので、昨年の私のドイツ旅行はぜひ語りたかった。時間も短くて十分話せなかったが、また機会はあるだろう。
 北秋田市の副市長から呼ばれたので、一生懸命に語った。変な男が愛知県にいると思ったのではないだろうか。でも、興味を持ってもらえたのはうれしいので、後日礼状を送りたい。
 秋田の美酒に酔ってしまったので、帰宅してから執筆はできなかった……と、酔いが醒めてきて、突然思い出した。懇親会できりたんぽを食べそこねた。くやしいー!

7月6日(火)「とんだ読み間違い・・・の風さん」
 週末の新聞に仮面ライダーの藤岡弘(という表現はおかしいが)が出ていて、お母さんが100歳だという。今でもお元気で、それはボディだけでなく、気丈な精神も健在とのことで、ああ、こういう風に年をとれたらなあ、と思った。
 そしたら、今日は、99歳の詩人の話が新聞に出ていた。詩集が23万部ものベストセラーになっているという。いくつか紹介してあったが、なるほどこれなら、と感心した。元気が出るのである。
 少子高齢化で、とんでもなく高齢のお年寄りが珍しくない世の中になっていくが、自ら元気なだけでなく、他人をも元気にさせるお年よりも増えてくるに違いない。
 ああ、それなのに、私の肉体的な元気はなかなか復活しない。主に社会人入学の3年間でガタガタになってしまったのだが、3年で衰えた肉体は、戻すのにも3年かかるのかもしれない。
 帰宅したら、先輩から学位取得のお祝いの日本酒が届いていた。うれしい。ところが、恩知らずの私は、開封してラベルを読み間違えた。毛筆の書体だったので、『浦霞禅』という文字を『浦霞褌』と読んでしまったのである。
 
7月7日(水)「治ったか、花粉症?・・・の風さん」
 このところ規則正しい生活を心がけている。体の奥にたまった疲労を早く消して、ガンガン頑張りたいからだ。そのために、先ず睡眠時間を確保している。とりあえず7時間。これなら会社の休憩時間でも、しっかり自分のことができる。
 昼食後、ちゃんと今日も歯を磨いて、席に戻るや、ケータイにイヤホンをつないで録音してあるビジネス英語を、本を見ながら聴いた。やったー! これぞ理想的なリスニングの鍛錬……と思いきや、15分もしないうちに、もう眼精疲労を感じて、継続不能になった。
 (なんじゃこりゃ?)
 だめだ。もう棺桶に入った方がいいのか。
 続けて、自宅へ届いているメールをチェックしたら、ぎょぎょっ! 某出版社から「来年3月刊行予定でお待ちします〜!」という激励メールがあった。
 ああ、この期待に私は応えられるのか?
 帰宅したら、辻真先先生の新刊が届いていた。『会津・リゾート列車 殺人号』(光文社文庫)である。辻先生のように次々に作品を生み出せないと、この業界では生きていけないのだ。なのに、私は辻先生よりも老いているみたいだ(^_^;)。
 夕食時、ワイフに向かって独り言。
 「最近変なんだよね」
 「何が?」
 「昨年暮れから超超超多忙な時を過ごしているうちに、花粉症を忘れて今日まで来てしまった」
 「それはおめでとう」
 「でも、実際は、肉体が老化して、全身が鈍感になっているだけだったりして」
 「肉体より感性の老化がなければ大丈夫じゃない?」
 (うーん。するどい)

7月8日(木)「週末に向けて緊張が高まる風さんの巻」
 また密度の高い週末が近付いている。
 思ったようにノルマをこなしていけない。一番の障害は体力不足。昨日もトレーニングに行きたかったが、雨も降っていたのでやめた。行かなかった時間でさまざまのことを処理したが、大物に手をつけられなかったので、焼け石に水というやつだった。
 大物とは……つまり、執筆。
 金曜日に地元の某大学を久しぶりに表敬訪問する計画も組んであったのだが、そのような余裕はなくなってしまった。残念だが仕方ない。
 今日も定時と同時に退社して、元気なうちに帰宅したのはよかったのだが、夕食後にダウンしてしまった。会社で頑張り過ぎたわけでもないのだが……。

7月9日(金)「賞味期限切れならまかせて・・・の風さん」
 午前2時半に書斎の床で目が覚めた(^_^;)。よくあることなので、「ここはどこ?」といったとまどいはない。むしろベッドの中で目が覚める方が混乱するかもしれない。変な行動をとったりして……。
 シャワーを浴びて、「さあ、やるぞ」と再び机に向かったのだが、身の危険を感じて、再び床へ。
 社会人入学の3年間で失った体力は、休養も含めて元に戻すのに3年かかるのだろうか。
 明日と明後日は、ワイフのトールの作品展が、地元の図書館の2階で開催される。
 今日は展示物の搬入と飾りつけで、朝から20人の生徒さんと出動して行った。遅くまで帰宅しないので、私の夕食の準備は……ないと。
 土砂降りの中、ミッシェルを突っ走らせて帰宅した。
 冷蔵庫の中を浮浪者のようにあさっていたら、賞味期限が6月30日のカステラが2切れ見つかった。期限切れ品の処理(もちろん食べること)は私のミッションなので、今朝のコーヒーの残りを温めて食べた。うまかった。
 晩御飯のときに、同じく賞味期限切れのコーンポタージュスープを発見したので、それを温めて食べたのは言うまでもない。メインディッシュは卵かけご飯。
 今夜も書斎であれこれ仕事をしながら、特に腹痛も生じなかったので、内心「やったー!」と思った。
 明日の文章サークル(第2回目)の準備をして、さっさと就寝した。

7月10日(土)「文章サークル2回目・・・の風さん」
 昨日とうって変わって、朝から好い天気になった。
 作品展初日のワイフは勇んで出かけて行った。2年に1度の大イベントである。全力を投入して準備していたので、期待と不安がいっぱいなのではないか。
 そういう今日は、長女が3年間勤めた会社を辞める日でもある。とてもこれ以上続けられないところまでよく頑張ってきたと思う。しかし、この経験は、これからの長女の人生にきっと生きるに違いない。とはいえ、今はとにかくゆっくり休ませてあげたいと思う。
 私にとっては執筆に専念する週末である。が、どうも心身ともに疲れ気味である。今夜は文章サークルの第2回目があるので、それも気になる。
 朝食はふだん通りのトーストとコーヒーを用意して、ブルーベリージャムをつけて食べた。
 昼食はインスタントの日本蕎麦で、また冷蔵庫から残り物を探し出して食べた。ドラえもんのように色々と出てくる冷蔵庫だ。
 イマイチ元気が出ないまま、それでも執筆に取り組んでいるうちに、早夕方になった。
 出発の準備をしているうちに身体に力がみなぎってきた(今ごろ遅いって!)。
 玄関を出たら、門に行く前に、蜘蛛の巣に行く手をはばまれた。
(まるで誰も出入りしていない幽霊屋敷だな、これじゃ)
 かわいそうだが、巣を取り払って門から外へ出た。
 夏が近そうな日差しで、気分は上々。
 今日の文章サークルは民宿で開催される。町の巡回バスに乗った。客がほとんどいない。
 民宿近くのバス停で降りて、散歩のような速度で歩いていたら、生徒さんが乗るクルマが横を通った。気が付いて窓から声をかけられたが、そのまま行ってしまった(笑)。おいおい。
 今日は、生徒が作品を持ってきたので、それで意見交換をした。記念すべき最初の勉強だ。原稿の出来がよかったせいもあるが、プロの作家を目指す人たちでなくても、読み手としては皆プロだ。短いながらも鋭い指摘が飛び交った。
 私からもいくつかネタ提供をし、勉強は1時間で終わりにした。
 大きな鯛の生き作り料理などを楽しみながら、歓談した。狭い土地の狭い職場の中の知り合いが集まっているのだが、けっこう互いに知らない話が出る。トリビアの「へーっ」現象。生き作りの鯛までが、ときどき口をパクパクさせるほどだった。
 第2回目の文章サークルは、今後への期待感をまたふくらませてくれた。
 帰宅したら、リビングの壁に幼児の手のひらほどの大きさの黒い蜘蛛がへばりついていた。
 あまりの大きさにギョッとした。相手も8本の手足を目一杯広げていたのだろう。
 夕方私に巣を取り払われた蜘蛛のボスが挨拶に来たのかもしれない。
 とにかく外へ出してやろうと、虫取り用の網を持ってきてかぶせたら、一瞬中に入ったすぐその後、ピアノのうしろに落下して見えなくなってしまった。
 ワイフの作品展は盛況だったという。努力が報われたということだ。
 私は酔っていたので、今夜もさっさと寝た。

7月11日(日)「長い日曜日・・・の風さん」
 今日の朝食も昨日と同じ。トーストとコーヒーを用意して、ブルーベリージャムをつけて食べた。
 書斎に入ると、午前5時過ぎに長女からメールが入っていた。片付け物や清掃をし、同期の友達と話をしてから職場を後にして、ようやく家に着いたらしい。もちろんタクシーだ。ほとんど毎晩、終電に間に合わなくなって、自腹でタクシー帰宅をしていた。残業手当も出ない職場で、何度か労其署が査察に入っているが改善されていない。そういう苦労もやっと終わるわけだ。
 昼食も昨日と同じインスタントの日本蕎麦で、またドラえもん冷蔵庫から残り物を出して食べた。
 だんだん執筆ピンチが現実のものとなってきた。とてもメール送信できそうもない。焦っていい加減な原稿を提出するわけにはいかないので、ネックになっていることを愚直に突破しようと方針変更する。合わせて、トレーニングも中止だ。
 とはいえ、中止できないものもある。
 ワイフのトールの作品展は、今日が二日目つまり最終日だ。昨日は午後9時まで開催していたが、今日は午後4時終了予定である。努力の成果を見に行かねば。
 3時過ぎに、ホットタイムを兼ねるぐらいの気楽さで、ミッシェルで家を出た。少し雨がぱらついている。見学したら、コーヒーとクッキーを呼ばれて、帰りに投票もしてこよう。私の1票で大勢が変わることもないが、投票すれば投票した相手の結果とその後の行動に、一種の精神的な共同責任を感じるようになるので、やはり投票しておこう。
 会場は広々としていた。エントランスから内部の飾り付けまで、基本が会議室の展示とは思えない空間の創造がされていて、感心した。特に、ディスプレイボードやテーブル、壁、窓の上部の突起まで利用した作品と草花の配置が見事だった。また、展示スペースの奥には、体験教室とホットコーナーがあり、見学後の楽しみが2段構えで用意されていた。
 頼まれて写真をバチバチ撮っておいた。
 しかし、ちょっと寄るだけという私の浅はかな目論見は、すぐに粉砕された。
「片づけを手伝いに来てくれたんでしょ?」
 ワイフのひと言に、ノーはあり得なかった。
 結局、片づけにもほんの少し手を出して、最後は、荷物をミッシェルにも積んで、2台で帰宅した。
 きわめて湿度の高い中での作業だったので、汗にまみれていた。
 部屋の空調を効かせて、ゆっくりしたが、もう選挙に行く元気はなかった。
 外食する気力もなく、卵かけご飯で夕食にして、しばし書斎でまた身を横たえた。
(原稿の送信は無理だな)
 しかしすぐにまた起き出して、執筆マシンに向かった。
 調べるべきことは徹底して調べた。
 階下へ降りたら、玄関のワイフの荷物のダンボールに、ペコがじっと見入っている。
 ゴキだった!
 すかさずゴキジェットを取って来て、シュパッと噴射。物入れに逃げ込んだので、扉を開けて、中へ吹きまくった。そして、扉を閉めたら、まもなくゴキが下から出てきた。噴霧で息苦しくなったのだろう。作戦成功。
 ペコの見ているところで、玄関のたたきに転がり落ちたので、そこを狙って、とどめの噴霧。
 ゴキが張り付いていたダンボールは、もともと次女の部屋にあった布切れ入れで、今回の作品展のために持ち出して、現地で活躍した布を再びしまって、持って帰ってきたものである。途中ですべてぶちまけることはなかったそうだから、最初からゴキが住んでいたのか、あるいは現地で忍び込んでそのまま持って帰ってきたのに違いない。いずれにせよ、最後にそこに置いたのは、私だった。そう思うと全身総毛立つ思いがした。
 再び書斎に籠もって、当然の成り行きとなった選挙速報を見ながら、午前4時まで執筆マシンに張り付いた。

7月12日(月)「性同一性症候群・・・の風さん」
 午前4時に寝ても、新しい1週間が始まったことに変わりはない。目覚まし時計で定刻にいったん目は覚ましたものの、また眠りに落ち込んでしまい、次に目が覚めた時刻は、家を出る予定時刻の3分前だった(笑)。
 それでも、会社に間に合ってしまうのだから、その後の私がどのような行動をとったのか、想像していただきたい。きっと想像はできないだろう。私もなぜ間に合ったのか未だに信じられないくらいなのだから。
 睡眠不足にもかかわらず、いちおう会社では元気に過ごした。
 昼休みに英語の勉強もした。
 バルセロナの知人からメールがあり、送った荷物が届いたそうだ。20日弱かかったことになる。それから、サッカーでスペインが優勝したので、大騒ぎになっているというホットな情報もあった。
 帰宅したら一気に疲労感が襲ってきた。
 夕食後、チビタンを抱いていたら、ワイフが、
「チビタンはメスだよ、きっと」
 と言う。
「まさか、こんなに凶暴なのに?」
 甘えるときは甘えるが、元気に遊んでいるときは、私の手を激しく噛んでくる。わざと指を口の中へ押し込んで、噛めばどうなるのか、仕込もうとするのだが、全く効果がない。
「そろそろどっちか見ればあなたなら分かるはずよ」
 と言うので、オスと信じている私は、半信半疑でチビタンのお尻をチェックしてみた。
 すると、激しい抵抗。
「痛いじゃないか!」
 本気で噛んでくる。
 私も本気でチビタンを押さえ込んだ。……と。
(ギョッ!)
「どう?」
「こ、こいつは……性同一性症候群に違いない」
 
7月13日(火)「愚陀仏庵が全壊・・・の風さん」
 梅雨らしい雨の日が続いているが、全国的には梅雨どころではない大雨になっている場所がある。
 出社したら、同僚から「愚陀仏庵(ぐだぶつあん)が全壊したそうですよ」と教えられてビックリした。
 3月に講演のために松山市へ行き、その会場になったのが、安藤忠雄氏設計の「坂の上の雲ミュージアム」である。早朝に松山空港に着いたので、午後の講演まで時間があった。愛媛県和算研究会の先生がたに案内してもらったのが、裏山にある愚陀仏庵だった。
 復元建築だが、山の斜面、風情のある林の中に建っていて、タイムスリップするには絶好のロケーションかと思われた。が、土砂崩れに弱かったようだ。
 松山には正岡子規記念館もあり、そちらでも愚陀仏庵の一部が展示してある。しかし、句会もときどき開催されているという復元愚陀仏庵は迫力がある。
 夏目漱石が文学に目覚めた重要な記念物である。
 予算など復興には厳しい道のりがあるだろうが、何とか計画を立ててもらいたいものだ。
 昼休みにケータイで英会話を聴いている。もう数百時間聴いている内容なのに、聞き取れないものは聞き取れない。動体聴力が全然ないのだ。
 帰宅途中で買い物をして、何となくロングドライブをした気分で家に着いたが、最近またとみに疲労感を覚える。この先長いことないのではないかと不安を感じる今日このごろである。それでも、頑張ってまた郵便物を用意したり、今年のレシートの整理に着手したりした。

7月14日(水)「執筆環境も全壊か・・・の風さん」
 相変わらず雨がぱらついている。近くにアジサイがないので、梅雨の風情が感じられないのは残念である。
 今週から会社の仕事の負荷を増加させようと考えていた。しかし、いきなりトップギヤに入れるのは無理で、少し加速した状態だ。
 やや遅く帰宅した。
 今夜はワイフが飲み会。
 時間的な余裕はあまりないが、昨日に続いて、少し雑務をこなしておこうとパソコンに向かった。
 サンルームにある共用パソコンでネット接続ができなくなったというので、それを調べようとしたのだ。結果として、そこから一気に泥沼に落ち込んで行った。
 不良サイトの閲覧を制限する無料ソフト「あんしんねっと」のバージョンアップが原因だった。
 執筆マシンのソフトのバージョンアップをやったら、そこからネット接続ができなくなってしまったのだ。色々な確認や対策をしてみたが、すべて駄目で、最後は「お問い合わせ」ということにした。
 しかし、それよりももっと悲しいことがあった。
 執筆マシンがネット接続できないので、アプリルを使って対策情報を入手したのだが、アプリル専用のマウスが見つからないのである!
 最後に使ったのは先々週の金曜日、帰りの新幹線の中だった。あれから存在を確認できていない。つまり使用することがなかったからだ。あるべき場所になかったので、どうも新幹線の座席(窓際)に置き忘れてきたようなのである。お気に入りのマウスだったので、失うと悲しい。
 飲み会から楽しく帰宅したはずのワイフと歓談する余裕も全くなく、午前1時半に慌しく就寝した。

7月15日(木)「黒の中に黒・・・の風さん」
 梅雨もそろそろ終わりかけている。今年の梅雨は乱暴過ぎだ。そのせいでもないが、想定外のことが起きて、計画が狂っている。運勢が上向きになってもらわないと……。
 あんしんねっとから回答が来たので、色々と試してみた。
 結局、常駐ウィルスセキュリティソフトとの相性が悪かったのだ。それを無効化することで、ネット接続ができた。似た現象が起きていた長男のパソコンも復活させてやった。風さんの息子だが、長男は科学的なことに興味がなさ過ぎる。
 今夜も、あっという間に夜が更けてしまったが、最後の抵抗だけして寝ることにした……が、ふと書棚の上を見ると、黒い布製のトートバッグがある。
(あ。あれって、東京へ持って行ったやつだ!)
 私は紙袋を持って行った気になっていたが、実は違っていたのだ。
 手を伸ばしてバッグをとって、中を覗くと……あ、あった〜! 黒い別珍のミニポーチに入ったちびマウスが、黒い布製のトートバッグに入っていたので、老眼には見落としやすかったのである。
 元に戻っただけだが、なんか、すごく嬉しい。得した気分。
 
7月16日(金)「良いことは連続する?・・・の風さん」
 午前中しっかり仕事したらお腹が空いた(笑)。昼食後、ケータイで英語を聴いているうちにウトウトしてしまった。英語の勉強の最大のネックは老化と疲労である(爆)。
 ギリギリまで仕事して退社。外へ出ると何となく大気が違う。梅雨明けが近いことを予感させる爽やかさだ。工場の高い屋根の上を鳥たちが忙しく飛び回っていた。
 昨年の8月、軽井沢で、講演前に持参したワイヤレスマウスが壊れた。それから紆余曲折があって、昨夜のちびマウス発見までつながるのだが、実は、アシュレイ専用のマウスはないままだった。
 今回の「ちびマウス失踪その後発見事件」をきっかけに、ネットでマウスの技術動向をチェックしてみた。昨年購入したちびマウスは値段が半額くらいになっていた。じゃあ、それより古い壊れたワイヤレスマウスは……と、製造も販売も中止になっていた。当然だろう。しかし、偶然、そのマニュアル(pdf)が見つかったので開いてみた。古いタイプのワイヤレスマウスなので、最初のセットアップが必要である。つまりマウス側とレシーバのマッチングである。試しにやってみた。
(動いた!)
 なんと、ワイヤレスマウスは壊れたのではなく、信号のマッチングがずれていただけだった。
 これでアシュレイ専用のマウスが復活した。
 嬉しくて、早速、ワイフに報告に行った。
 「でしょう? 悪いことの後には良いことが続くのよ」
 「実はね、書斎の天井の蛍光灯だけど、最近、ブーンっている騒音がなくなったんだ」
 「すごい。良いことの連続ね」
 「あまり良いことが続くと、怖いけどね。今夜寝たら、明日の朝ぽっくり死んでたりして……」
 「それも良いことかもよ」

7月17日(土)「さあ執筆だ・・・の風さん」
 各地で狂ったように雨を降らした梅雨が明けた。
 ここも朝から青空である。
 地元の新聞に平岩弓枝先生のエッセイが載っていた。10年以上飼っている(居座っている)猫の話だった。元は野良猫だったところが、うちのペコとよく似ている。あるいは飼い猫が置き去りにされて野良猫になっていたところは、親猫に置き去りにされたチビタンとも似ている。
 執筆中も先生の近くにいるらしい。真似して、チビタンを書斎へ入れてみた。意外とおとなしい。邪魔にならない。そのうち机の下で寝てしまった。
 先生のエッセイは見事なオチで終わっていた。「猫と老婆は相性がいい」いやいや、どうしてどうして「猫と老爺も相性いい」です。
 終日、執筆に専念し、夕食時にワイフの誘惑に負けてビールを飲んだら、そのままダウンした。

7月18日(日)「今年の夏はある意味終わった・・・の風さん」
 書斎でダウンするんじゃなかった。背中が痛くて何度も目が覚めたが、起きられなかった。
 目が覚めるたびにクーラーが作動しているのは不思議だった。
 何となく予感していたのだが、午前4時に起き上がることができた(笑)。
 階下へおりて、水分を補給して、腐りかけたバナナを1本飲み込んで、再び書斎に戻った。
 執筆マシンにしばらく向かった。そこまでは執念だったが、長く続かなかった。
 再びダウンして、次に起き上がったのは午前8時だった。
 朝刊に目を通したが、イマイチ元気が出ない。大相撲の不祥事のせいか。石川遼くんの成績が低下しているせいか。阪神が首位に立てないせいか。お、近いな。そう。母校である秋田高校が、この夏は、なんと初戦で敗退したのである。母校の球史始まって以来かもしれない(ンなアホな)。とにかく、私の夏は終わってしまったのだ(涙)
 今日もよく晴れた。外へ出て少し体を動かしたら、どんなに気持ちがいいだろう。しかし、できない。私には時間がない。とはいえ、目の前の目標が達成できれば、私にはもう一つの夏がやってくるだろう。
 もう二度とダウンすることなく、しぶとく執筆マシンに向かった。
 懸命に頑張ったが、ゴールにたどり着けなかった。
 明日も頑張るしかない。

7月19日(月)「執筆大ピンチ・・・の風さん」
 執筆大ピンチ状態だが、昔のように火事場の馬鹿力は出ない。
 普通に起床して出社した。
 今日の楽しみは昨日復活したワイヤレスマウスが、アシュレイにレシーバーを装着して動作するかどうかだ。やってみたら、難なく動作した。ばんざーい!
 昨年の軽井沢からほぼ1年ぶりに動作したのだ。
 こんなマウス捨ててしまえ、と何度思ったか知れない。
 え? 鳴海風はそんなに気が短いのかって?
 先日、交通安全活動の一環で、会社で運転適正試験をやったが、短気度100%だった(^_^;)。
 イライラしている風さんには、くれぐれも近寄らないように(笑)。
 その勢いで、気になっていた段ボール箱2つを本社へ送った。
 あと、身の回りに整理すべきものが山のようにあるのだが、書斎の方を先にしたい……って、関係ないか(笑)。
 すっかり真夏モードになっている中、早々と帰宅した。
 北海道の書店に注文してあった古本が届いていた。
 梱包を解いて、胸騒ぎがした。
 どこかで見たことあるような。デジャブ状態。
 2階の書斎に飛び込んで書棚をチェック。
(あ、あったー!)
 新刊で、同じ本を買ってしまったことが過去あったが、古本では初めてだった。
 初犯だからと言って許されない。
 落ち込まずに、わき目もふらず執筆。
 不思議と発想が湧く。時間がないのが最大の問題……じゃなかった、私の力不足が本質的な問題だった。

7月20日(火)「執筆大ピンチ(続編)・・・の風さん」
 ゼロのつく日は交通安全の日(死亡事故ゼロの日)だ。寝坊したが、焦って運転してはいけない(いつもこれだ(^_^;))。
 午前中、本社へ出張する可能性が高かったが、不要になった。
 天気は好いが、好過ぎる。真夏だ〜(笑)。
 ミッシェルの車検の期限が、来月下旬である。このスケジュールも立てなければいけない。ついでの予定と兼ねて、とわがままなことを考えているので、なかなか決まらない。夏期連休も有効に使いたいし……。
 夕方になり、金曜日の出版社との打ち合わせのため、明日有休をとって執筆に専念することを決断した。今年もすさまじい有休取得状況である。
 帰宅し、夕食後、ワイフに執筆専念宣言した。
「今から、たぶん明後日の朝まで、ぶっ続けの執筆態勢になる!」
「また、そんな無理なこと言って。暴走したって途中ですぐ休んじゃうんだから、普通にやればいいのよ。効率は同じ」
 夫の必死の行動を、まるで亀と競争しているウサギみたいだと言うのだ。途中で昼寝してれば、ゆっくりでも着実に歩む亀と一緒ではないかと言う。
 うーん、そりゃそうかもしれないが……、精神論も重要なのだ、とにかく。

7月21日(水)「登場人物に命が・・・の風さん」
 書斎の床には、お昼寝布団と健康枕を用意して、万全の態勢。
 今朝の4時ころまで、断続的に執筆を続けた。
 そこまでは順調だったといえよう。
 突然大きな揺れが襲ってきて目が覚めた。
 これ以上揺れるようなら、起き上がって書棚を支えないと危ない、と思っているうちに揺れがおさまって、また深い眠りに……。
 次に目が覚めて、ボーっと時計を見たら8時だった。
(ちょっと寝すぎたたかな)
 と思いつつ洗面所へ行ったら、そこの時計は11時だった!
(うっそー)
 と胸の内で叫びつつ、念のためトイレの時計をチェックしたら、やはり11時だった。
 今日も好い天気だな、と諦めて、と言うか気持ちを切り替えて、また執筆マシンに向かった。
 夕方になって、とうとうある地点に到達した。
 土曜日から夢中で執筆してきた効果だろう。
 小説の登場人物に命が宿ったのである。史料の中にある歴史上の人物を、小説に描いているうちに、ふとある瞬間からその人物が生きているように動き出すことがある。小説の中に歴史上の人物をよみがえらせた瞬間である。
 喜びと感動とやりがいを覚える。
 やはり小説は私の生きがいだ。
 夕食後、リビングでゴキが出たりと大事件もあったが、午前2時半、何とか第2稿らしきものを書き上げて出版社へ送ることができた。

7月22日(木)「0泊3日の旅が始まる・・・の風さん」
 夏に突入した直後から猛暑が始まった。
 当地へ越してきて早30年以上が経過している。地球温暖化もあるが、夏の暑さにはかなり慣れてしまった。35℃をこえないと、暑いと言ってはいけない気がするくらいだ。子供の頃は30℃と聞いただけで卒倒していたのだが(笑)。
 今朝未明に送った原稿データが届いたという返信があったので、安心して会社の仕事をした。
 定時後になって、私の無茶な旅行計画がスタートした。
 0泊3日という、まるで海外旅行みたいな東京往復である。往復で車中泊となる。
 帰宅して、猛烈なスピードで準備した。最後に残っていた準備は、国会図書館で調べる資料のリストアップである。
 夕食後、急いでシャワーも浴びて、できるだけ軽い服装に着替えた。
 持ち物はトートバッグ1個。
 ワイフに駅まで送ってもらった。
 ホームに立つと、海から風が吹いている。いくらか下がってはいるが、涼しいとはいえない風だ。
 不思議と元気で、電車の中で文庫を読んだ。
 名古屋駅近くのコンビニへ行って、チューハイとつまみを購入した。
 夜行バスは恐ろしく空いていた。乗客総数は10人ほどである。運転手が「好きなところへ座ってください」とサービスしていたが、座席を二つ占領しても、ひどく窮屈なのに変わりはない。
 チューハイを飲んですぐ酔っ払って寝てしまったが、エコノミークラスの国際線に乗っているように苦痛だった。たしかに0泊3日というのは海外旅行に似ている。

7月23日(金)「お湯の中を歩く旅・・・の風さん」
 6時過ぎに新宿駅西口に着いた。バスから降りると、ホームレスが幸福そうに路上で大の字になって寝ていた。10メートルも歩くと、上半身裸でしらみでも取っているようなホームレスを遠望できた。
 しかし、こうして、なりふりかまわず東京へやってきた自分の姿も、彼らと本質的に何の違いもない。なぜかというと、好きなように生きている点で共通だからだ。
 慌てて、腰に万歩計を装着した。
 あらためて出発。
 トイレで洗面を済ませ、6時半から開店しているコーヒーショップで、トーストサンドの朝食を摂った。最後に水をコップ1杯飲んだら、腹のあたりが気持ち悪くなった。夏は水を飲まないようにしなければ。
 今日の詳細スケジュールはケータイにしっかり入っているので、その通りに行動する。
 地下鉄で九段下まで行き、蕃書調所跡の碑を見学。このへんの歴史はとっても複雑なので、ワンショットである。そこから皇居を左回りに歩くことになる。お堀端の木々は蝉の声でかまびすしい。幹を見たら羽が透けた蝉がとまっていた。次の木の幹には蝉の抜け殻が。なーんだ、蝉だらけなんだ。
 北の丸公園のところにある枡形の田安御門や櫓門を眺めながら、「ここには天皇家や皇族がお住まいになっているのだ」と思っているうちに、「待てよ。もともと徳川幕府のお城じゃないか。だったら、本来の住居である京都御所に戻るべきではないか」と思い始めた。
 2度目の靖国神社参拝をした。祖国のために散った若者たちの想いに、頭が下がる。「天皇陛下万歳」と叫ばせたので、話がややこしくなったのだ。幕末も太平洋戦争時も天皇は利用された面がある。
 時間があったので、日本庭園へ回った。池があって錦鯉がたくさん泳いでいた。珍しく仏心が出て、自動販売機で「鯉の餌」を買おうとコインを入れたら、何も出てこなかった。「故障時は靖国会館へ」と貼り紙がしてあったが、会館はまだ開いていない。餌を食べさせるつもりが、コインを機械に食われてしまった。確信犯かもしれない。
 ふたたび千鳥が渕の方へ戻って、お堀端を左回りにゆっくりと回りだす。内堀通り横では、ときどきマラソンランナーに出くわすが少ない。早朝から暑いせいだ。堀端に続く桜並木はほとんど古木で、枝が堀へ向かってなだれのように垂れ下がっているところが異様だ。保存会ができているそうで、うれしく思った。
 半蔵門の前には交番があって、近寄れない。さらに歩き、国立劇場が右手に見えてきて、そろそろ近いな、と思った。
 国会図書館は9時半開館だが、9時に着いてしまった。万歩計を見るともう9千歩を越えている。木陰に何人も開館を待つ人がいるが、皆暑そうだ。
 中に入れたので、荷物をコインロッカーに預け、自動機で入館手続きも終えた。
 今日は6冊の資料調査を予定していた。次のスケジュールまで、滞在時間が3時間以上あるので、楽勝かと思われたが甘かった。コンピュータで検索してズバリ目的の本にたどり着かないのである。最大の理由は、参考文献の書き方があいまいなため、特定できないのだ。雑誌の中の記事には往生した。論文らしきものも、号や冊、年次、ページがさっぱり分からないのだ。
 結局、3冊は目的を果たしたが、1冊は見つからず、1冊は本の存在を確認したのみ、あと1冊は借り出したが「当日複写不可」だった。
 その間に昼食も摂って、次の目的地を目指して、永田町から神保町へ。外へ出て歩くと、まるでお湯の中を泳いでいるような感じがする。
 X社を訪ねた。来年、本を出しましょう、と提案していて、期待してくれているので、その編集者と会うのである。8月のサイエンスカフェにも出張で来てくれるそうだ。ありがたい。本を2冊頂戴した。
 次は、新宿。東南口から少し歩いたところにある喫茶店が指定されていた。移動するたびに電車を乗り継ぎ、外も歩くので、汗だくだくである。
 古びた喫茶店の入り口が見えた。地下へ降りると、中は意外と広い。編集長が既に到着して、私の送った原稿を読んでおられた。
 今回送った原稿の出来が良く、編集長は喜んでくれた。これなら遅れは一気に挽回できそうだ。今後の修正の方向をしっかり打ち合せ、5時に別れた。次回はまた1ヵ月後になりそうだ。
 再び地下鉄で、乗り継ぎ乗り継ぎ、やっと麹町へ。
 Y社を訪ねた。以前に送ってあった原稿に基づいて、編集長とご相談。
 無理かと思っていたが、「企画会議にかけますし、企画は通ると思いますよ。でも、条件が……」。私の希望は出版さえできればよい、というものだったので、条件は相当に厳しいものになるだろう。企画が通ったら、また打ち合わせに来るつもりだ。
 編集長がてがけた文庫を1冊頂戴した。
 続いて、また乗り継ぎ乗り継ぎ、東京駅へ。丸の内側から八重洲側へかなり歩いて、八重洲ブックセンターへ行った。目的は大坂の古地図。取り組んでいる時代の大坂の地図が欲しかったのだ。
 色々な時代の地図があったが、どれもこれも文字があいまいで実用的でない。一気に明治や大正になると堀が埋められてしまい、全体像が変わってしまう。結局、小説の舞台に一番近い時代の大坂の地図が、小さかったけれども、形がよく表れていたので、それを購入した。
 これでやっと予定したビジネスをすべて完了したので、今夜バスが出る新宿へ戻ることに。
 出発は11時半と昨夜の11時より遅い。
 友人にメールを送って一緒に夕食を摂った。
 夕食を摂ってもまだ出発まで時間があった。
 今夜は缶入りの水割りを用意して、バスに乗り込んだ。ほぼ満員。
 0泊3日の無茶旅行の最後の夜が始まる。

7月24日(土)「27895歩・・・の風さん」
 通路側の席だったので、夜中に隣のおっさんが(自分を棚に上げて何言ってんだか(^_^;))私をまたいでいった時、一瞬目覚めたが、それ以外は熟睡していた。疲れていたのだろう。
 予定通りに名古屋に着いたので、計画していた電車で帰宅することにした。
 駅の構内にあるコンビニで吟味してブラックコーヒーを買って飲んだ。
 乗り換えで失敗して、電車が一本遅くなってしまったが、驚くことにワイフからメールが入り、迎えに来てくれるという。夕べは徹夜だったのだろうか。
 長い坂を登ることなく家に着いた。
 ワイフに万歩計を自慢した。
 27895歩になっていた。
 昨日の東京の最高気温は平年より5.5℃高い35.5℃だった。全国で、熱中症で救急車で搬送された人や、亡くなった人の数が史上最悪だった)。私は無謀なことをしたのかもしれない。
 シャワーを浴びてスッキリして、ビールでも飲みたい気分だったが、飲まなかった。飲兵衛ではないからだろう。
 昨日から長女が帰省している。3年間の激務を卒業して、今はゆっくりしているところだ。
 ちょっと不在にしていた間に、ドラセナ(幸福の木)がひどいことになっていた。一つの鉢に2本植えてあるのだが、1本の太い茎がチビタンの餌食になってえぐるように侵食されていた。爪かきされ、登られ、食いちぎられていたのだ。横から押したら折れてしまいそうだった。いたずらするたびに叱っていたのだが、まるで効果がなかった。
 今はチビタンはおとなしくしている。
 そのチビタンとたわむれたりしているうちに、ソファでウトウトしてしまった。
 夜は、長男も次女もいないので、3人で外食した。私は初めて行くイタリアンレストランである。
 何でもない普通の住宅地の中に、洒落た建物があった。内部も清潔感あふれるレイアウトで、私の好みだった。味もとてもよく、値段もてごろ。なのに客が来ない。全部で3組しかいなかった。
 愛知県はまだまだ不況から脱出できないでいる。その打撃を最も長くこうむっているのが飲食業である。ずいぶんとつぶれている。ここも危ない、いちおう高いメニューを選んであげてよかった。
 深夜、長女と純米酒を傾けながら、人生と職業について語った。3年間はよい勉強になったのだということ。人生は長く可能性がある。決して焦る必要はない。そして、どのような進路を選ぼうとも、応援してやるよ、と。決して酔っての発言ではなかったが、語り合うことには酔いしれていたかもしれない。

7月25日(日)「幸の木と福の木・・・の風さん」
 今日も暑い一日だった。
 ワイフは今日もトール教室がある。
 私は、今日もオフにすることにした。土日連続オフなんて、今年初めてである。
 後半戦もきっと多忙になるだろうから、まあいいだろう。
 朝食後すぐ取り組んだのは、ドラセナ(幸福の木)の挿し木である。
 たぶんホームセンターから買ってこなくても、自宅に何でもあるだろうと踏んで作業にかかった。
 物入れからのこぎりを探し出した。2本も出てきた。
 外の小屋を物色して、移植べらや、腐葉土(新品)、固形肥料を見つけ出した。
 使わなくなった鉢の中から適当なものを探すのは厄介だった。下に置くプラスチックのお皿と組み合わせなければならないし。結局、鉢を二つにして、ドラセナを分けることにした。
 いよいよドラセナを外へ持ち出した。
 既にこの時点で汗だくである。裸で作業したいが、虫に刺されるのがいやだった。
 茎をのこぎりで切って、腐葉土と肥料で層を作った中に挿し木をした。
 屋外の水道から水をかけて湿らせた。
 リビングに背が低くなったドラセナの鉢を二つ並べた。
 長女が階下へ降りてきた。
「ドラセナを見てよ。幸の木と福の木の二つになったよ」
「わぁ、可愛い。どっちが幸の木でどっちが福の木?」
「どっちでもいい。幸の木と不幸の木じゃないんだから」
 シャワーで汗を流して着替えなければならなかったが、満足した。
 今日は読みかけの本も2冊読み終えた。今年やっと21冊。
 夕方からトレーニングに出かけた。先月復活して2回行き、今月これで2回目なので、復活してからまだ4回だ。上半身の筋力が落ちている(金力はもっと落ちている)。太った女性が自転車を漕いでいたので、その横で自転車を漕ぐのはいやだったので、ウェイトトレーニングに取り組んだ。一通りのメニューをこなしたが、腹筋、背筋、広背筋のトレーニングは2セットやった。

7月26日(月)「再び多忙な生活へ・・・の風さん」
 昨夜用意した郵便物をコンビニで投函してから出社した。このコンビには経営が下手なため、近々閉
店する。なぜ経営が下手かというと、コンビニの最大の特徴である売れ筋製品を品揃えしていないので
ある。POSを活用してその店で売れるものは絶対に品切れさせないのが武器のはずなのに、それがで
きていないのだ。信じられない。
 午前中から午後にかけて会議で埋め尽くされた1日だった。
 今週中に読了する計画にしているので、昼休みにその経営学の本を読んだ。
 少し遅くまで仕事して帰宅したら、昨日のトレーニング疲れもあって、強い疲労感をおぼえた。
 頭を使う仕事は無理と判断し(最近多いな、こういうの)、メールをいくつか送る程度で早々に就寝……
と思っていたが、最後の仕事でつまづいた。
 就寝が予定より30分遅くなってしまった。

7月27日(火)「猛暑は続く・・・の風さん」
 朝刊を読んでいたら、今年は猛暑のために熱中症で入院する人や亡くなる人が非常に多いという。
 地球温暖化のせいではないかと思うが、原因がピンとこない。日本列島という孤立した空間に住んで
いるので、日本だけを見たとき、炭酸ガスをべらぼうに増やしているわけではないし、森林をじゃんじゃ
ん伐採しているわけではないし、人口が爆発しているわけではないし……。
 やはり地球規模で見たときに起きている現象で、たとえ海の孤島といえど、その影響から逃れることが
できないということか。
 会社の仕事もだんだん密度が高くなってきた。それはそれで良いことだが、体力不足の私なので、安
請け合いして皆に迷惑をかけてはいけない。
 今日は退社してから買い物をして帰った。
 よく行く薬局(大型スーパーのテナント)が来月閉店するというので、マスターに理由を尋ねたら、大型
スーパーへの来客が減っていて、その影響で薬局の売り上げが減り、経営的に苦しくなってしまったの
だそうだ。テナント料も馬鹿にならない額らしい。
 閉店後は本店だけの営業になるそうなので、そちらへ寄ることになるが、ちょっと遠くなるな。
 遠回りして帰宅したが、昨日ほどの疲労感はなかった。夕食後にアイスクリームのデザートをしこたま
食べてパワー源として書斎に入った。
 しかし、最初の勢いはどこへやら、結局、昨日と同じ。メールをいくつか送って、郵便物を一つ作るのが
関の山で、あとは無理せず、早めに就寝した。毎晩、冷房はつけっぱなしだ。

7月28日(水)「これって行儀悪くない?・・・の風さん」
 今朝、家を出るとき、投函すべき郵便物はしっかり持ったが、せっかく淹れたレギュラーコーヒーのポットを忘れた。そろそろバイオリズムが低下し始めるのだろうか。
 会社で昼食を摂っているときに、ふと気が付いた。
 食堂に大型ディスプレイが何台も設置されている。テレビ放送をしているのではなく、社内の色々な情報を放送しているのだ。社内行事やスポーツクラブの試合結果、職場紹介etc.
 設置された直後は全く関心がなかったのだが、最近けっこうその画面を見ていることに気が付いた。
 会社ではコミュニケーションの大切さを何度も訴えていて、朝礼や夕礼を推奨しているし、水曜日の午後は「ノー会議デー」と称して、各職場で上司と部下がしっかり話し合えるようにさえしている。
 しかし、この大型ディスプレイは何だ!?
 昼食時しか顔を合わさないような職場の仲間と歓談できる機会なのに、それを奪っているではないか。
 近年の厳しい経営環境から、残業はできず、短時間で仕事を終える効率化がきわめて求められている。定時間内は雑談している余裕もないのだ。
 それに……、話は変わるが、我が家では、食事中はテレビを観ないことを、子供の躾として実践してきた。お母さんが作ってくれた料理を味わって、家族がだんらんする貴重な時間であることを教えてきたのだ。会社のやり方は、日本の家庭のあるべき姿にも反していると思う。
 帰宅し、いつも通りに家族で夕食を終えた後、……電子ジャー炊飯器の近くでゴキが出た! 恐怖!
 ゴキジェットで追ったが、取り逃がした。
 今日はあまり良い日ではないのかと思いつつ、書斎へ入り、Webメールをチェックしていたら、某出版社からオファーが飛び込んでいた。ありがたい! うれしい!
 感情の起伏の激しい1日だった(笑)。

7月29日(木)「イノベーションは忙しい・・・の風さん」
 出社時、大雨だった。これだけ激しく降ったら、少しは地球が冷えるかもしれない。
 それにしても今年の天気は極端だな。
 昼休みにイノベーション実践の本を読了した。今年やっと22冊目。
 高度技術社会とマーケティングという部分が印象に残った。
 私自身もそうだが、市場動向や顧客調査がビジネスの出発点だと思っていたが、それは間違っているようだ。高度技術社会になってくると、最先端技術は、研究開発している技術者しか知らない。
 インターネットが発達して、ほとんどの顧客が知っていたり欲しているようなことは、すぐにコスト競争になり、健全なビジネスにならないという。確かにそうだと思う。
 本当のイノベーションは、最先端を開発している技術者が、その技術でどれだけの価値が生み出せるのか、顧客の生活が改善されたりするのか、そのマーケティングもやらなければならない、というのである。顧客に聞くことは、かえってイノベーションの妨げにさえなるという。
 ややピントはずれるが、ハイブリッド車や電気自動車が地球環境のためにも必要だと説明しながら売り出せば、それは新しいビジネスになる(なった)。
 昨今の出版界では、出版技術が高度化したせいもあって、昔の月刊誌の連載のように、同じ作家の作品が短いインターバルで、連続的に出てくる(時代小説の文庫にそれが顕著に表れている)。こういうことを見せつけることで、顧客に新たな楽しみ方を教えたと言えば言えそうだ。
 タッチパネルを駆使したi-phoneやi-Padなども似ている。今までにないケータイやPCの使い方を見せつけることでビジネスを伸ばしている。
 ま、とにかく技術者も小説家も忙しくなっているのは事実だ。
 退社時に郵便局に寄って振り込みをし、GSによってミッシェルに給油してから帰宅した。
 やはり忙しい。その証拠に、夕食後ダウンした(本当はビールと日本酒をちゃんぽんで飲んだせいだったりして(^_^;))。

7月30日(金)「長女も強行軍・・・の風さん」
 昨日の雨雲はすっかり東へ去ったようだが、喜んでばかりはいられない。
 起床したとき、既に長女の姿はなかった。今朝早く、友達と高速バスで東京へ向かったのである。運が悪いと、雨雲と一緒に東京に着く。友達がコンサートを聴きに行っている間は、長女はひとりで動き回らなければならない。猛暑もつらいが、雨もうっとうしい。
 会社の仕事が最近ペースダウンしているので、今日は少し根を詰めて頑張ったが、ゴールにたどり着くことはできなかった。やはり老化すると力任せの無理はきかなくなるのだろう。
 月末が近付いているので、連載原稿が気になる。
 夕食後、執筆をやろうか早めに寝て明日頑張ろうか思案していると(ここ半年、こんなことばっかりだ)、ソファに座っていたワイフが悲鳴を上げた!
 見ると、ソファの背もたれのあたりに大きなゴキが……!
 急いでゴキジェットを取って来てシュパッと吹きかけたが、ゴキもびっくりしたのか、あっちへ行ったりこっちへ来たりうろたえている。その間に、3、4回もシュパッとやった。
 今年は暑いせいか、ゴキの出現が多い。
 早めに寝ることにした。
 今頃、長女は、帰りの夜行バスに乗っているだろう。

7月31日(土)「終わりよければすべてよし・・・の風さん」
 今日も上天気だ。のんびり海浜で日光浴するとか、庭でビールでも飲みながらバーベキューでもするとか、痛んだマイホームのエクステリアを修理するとか、いろいろ頭に浮かぶが、もう何年もやっていないことばかりだ。
 今日は朝から連載原稿の執筆。
 今夜、ワイフはこの間の作品展の打ち上げだ。長女は東京から名古屋の自宅へ帰って、疲労と睡眠不足でぶっ倒れているだろう。長男はバイトでその後飲み会だとか言っていた。次女もバイトで、夕食は不要だとか。となると、私の夕食は、冷蔵庫の残飯整理だ。
 それまで、連載原稿の執筆。
 先週挿し木にして増えた「幸の木」と「福の木」は、どちらも無事だ。ほぼ毎日水をやっているので、うまく根付くかもしれない。
 そもそもこのドラセナは、メスのくせに腕白小僧のチビタンが、登って、引っ掻いて、齧って、斃れそうにしてしまったのを、超多忙な私が植え替えたのだ。
 そのチビタンは、最近ますます悪に成長して、テーブルの上に上って走り回る。
 深夜、連載原稿の下書きがだいたい出来た。深夜とは言っても、まだ今日のうちだった。
 こんなことはめったにない。やっと、否、きっと執筆能力が増したのだ(笑)。そうに違いない。
 来月からもっと頑張るぞ。

2010年8月はここ

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